近年、生成AIの進化によって、システム開発の現場は大きく変わり始めています。プログラムの作成やレビュー等、これまで人が時間を掛けて行っていた業務も、AIを活用することで、より効率化できる場面が増えてきました。当社の経営計画書の「JCAの今後の方向性」では、AI活用やこれからのシステムエンジニアについて、以下のような内容が記載されています。
2026年時点ではAIの台頭により破竹の勢いで生産性が上がり、ソフトウェア業界を取り巻く環境が変化しています。そのような変化に合わせて、AIの活用含めて業務を見直し、メンバーは対話・判断・設計・創造といったものに集中すること。作業量ではなく、お客様への貢献度を最大化することで付加価値を高めることが必要です。
SES事業では発注元の企業(お客様)が主導して生成AIを活用しようという機運が高まっています。そのため、一人ひとりが、お客様の業務内容の理解力、システム全体を構築できる能力、セキュリティ対策をはじめとした技術力を高めるとともに、生成AIを最大限活用して低コスト、高品質のシステムを構築できる能力を養わなければなりません。
私たちは、こうした変化を踏まえ、AIをどのように業務やシステム開発に取り入れていくかを考え、社内でもさまざまな取り組みを進めています。今回は、その中から「社内開発プロジェクトの取り組み」と「スキル基準の改定」という2つの取り組みについてご紹介します。
社内開発プロジェクトの取り組み
当社では、2025年11月に社内開発プロジェクト「JADE(ジェイド)」を立ち上げ、活動をスタートしまた。「JADE」は、「JCA Advanced Development Project」の略称です。名前を検討する際に、「AI駆動開発」(AIの活用を前提とした開発)という言葉が挙がり、「もっと格好良く、AIを活用するだけでなく、新しい技術やスキルをキャッチアップしていくことも活動の目的の一つであることを表現したい」というメンバーの発案から「JADE」という名前が生まれました。
「JADE」の取り組みが始まる以前から、社内でChatGPTの活用を促進するためのコミュニティ「ChatGPTタスクフォース」を立ち上げ、活用事例を共有し、業務でどのように生成AIが活用できるのかを探る活動を行ってきました。そうした中、代表の平木から会社の実績等、経営に必要な情報をまとめて確認できる「経営ダッシュボード」を作成したいという話があり、それをきっかけに、生成AIを活用して実際のシステム開発に取り組む「JADE」の活動が始まりました。
現在、「JADE」では10名のメンバーが活動しています。活動当初は「AIを使って開発業務の何がどこまでできるのか」を調べるところから始め、その後は実際の開発にAIを取り入れ、これまでExcelを使って管理していた情報をより効率的・効果的に管理できるような社内システムの開発を進めてきました。現在は、当社サービス「カイケツくん」の開発等を通してAI活用の知識を培ってきたメンバーを中心に、そこで得たノウハウや経験を一部のメンバーだけにとどめず、社内にも共有しながら、AI活用の幅を少しずつ広げていくことを目指しています。
スキル基準の改定
当社では、メンバーの成長や職務上の能力を評価するための指標として「スキル基準」を設けています。これは、「技術者として、経験年数に応じて習得すべきスキルの水準を明確にし、自己努力の助けとする。基準を明確にすることで、向上心を持って努力しているメンバーにとって、明確で公平なものとなるように目指していく。職能を客観的に評価する基準として使用する。」ものです。評価する観点としては、プログラミングスキル、設計スキル、作業計画・調整能力、資格等があります。
近年、システム開発業務の多くがAIで代替可能な段階に到達してきています。そうした変化を踏まえ、当社ではこれまでの「スキル基準」をベースに内容を見直し、2026年7月より「AI活用」に関する評価軸を追加しました。
今回の改定は、AI活用やシステム開発に関する知識・経験を持つメンバーが中心となり進めました。プログラミングスキルや設計スキル、レビュースキル等、これまで評価してきた観点について、それぞれの作業が「AIを使用して代替できるものなのか」「一部がAIを使用して代替できるものなのか」といった視点から整理されました。そのうえで、AIを効果的に活用するために必要なスキルを評価する観点として、「AI活用成果創出スキル」(AIを使って業務改善・成果・価値を生み出す力)と「AI活用実践スキル」(AIをどう使うか判断し、試行・検証・改善しながら使いこなす力)の2つを新しく追加しました。
「AI活用」の評価でポイントとなるのは、「AIを使う」ことと「AIに仕事をさせる」ことの違いにあると考えています。例えば、AIに分からないことを質問したり、プログラムの一部を作ってもらったりすることも、「AI活用」の1つです。そこからさらに一歩進み、業務の目的に合わせて、AIにどの作業を任せるのかを考え、指示を出し、その結果を確認・判断しながら成果につなげていくことも必要になります。こうしたAIを効果的に活用するために必要なスキルや知識も含め、「AI活用」を成果とプロセスの2つの軸から評価していきます。
このように当社では、技術の変化に合わせて「スキル基準」も見直しながら、メンバー一人ひとりが自身の成長を考えられる環境づくりを進めています。
おわりに
生成AIをはじめとする技術は急速に進化しており、業界全体で開発スタイルの変化の波が押し寄せてきています。ここで競合他社をリードできなければ淘汰されていくため、機会を見つけて、キャッチアップしていかなければなりません。
「JADE」のメンバーからも、「この先どのような時代になるのか、AIがどこまで進歩するのかは分からない。答えはないが、生き抜いていくためにも、こうした活動を通して自分たちの技術を磨いていくことが必要だと考えている。」といった声が上がっていました。
当社では、社内開発プロジェクト「JADE」での活動や「スキル基準」の見直し等の取り組みを通して、変化する技術に向き合いながら、メンバー自身が新しい知識や技術を学び、成長していける環境づくりを進め、お客様に提供できる価値をより高めていきたいと考えています。